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『漫画でわかる光遺伝学』を制作しました

2026年のノーベル生理学・医学賞で、光遺伝学という言葉を知った方もいるかもしれません。光を使って神経細胞の活動を調べる技術です。私が最初に引っかかったのは、脳活動を読む研究から書き込む研究へ、という説明でした。脳に何かの文字や記憶を入力するのでしょうか。技術の始まりに藻の研究が関わっていることも、すぐには結びつきませんでした。

その疑問を出発点に、Kindle漫画『漫画でわかる光遺伝学』を制作しました。サブタイトルは「藻の光から、脳を調べる技術と治療研究まで」です。

光が点くと、マウスはなぜ動きを止めたのか

主人公は25歳の会社員、大野悠。ノーベル賞の記事を読んでわからないことが増えた悠は、神経科学を研究する旧友の河合澪に尋ねます。澪が見せたのは、光を当てるとマウスが身をすくめる実験でした。

悠は早速、記憶を書き込んだのかと考えます。でも、マウスの頭の中で何が見えているかを、外から直接見たわけではありません。二人は実験の手順をたどり、どの細胞を刺激し、どんな行動が起きたのかを確かめていきます。物語の中心に置いたのは、2012年に発表されたマウスの記憶実験です。

藻の研究が、どうして脳の研究につながるのか

もう一つの疑問は、藻と脳のつながりです。悠は藻そのものを脳に入れる場面を想像してしまいますが、もちろんそうではありません。藻の研究で見つかった、光に反応するタンパク質の仕組みを神経細胞の研究に利用します。

漫画では、二人の会話を追いながら、光で狙った細胞の活動を変えるまでを見ていきます。脳活動を書き込むという表現も、文字や映像を保存する意味ではなく、細胞の活動に介入して働きを確かめるという意味で描きました。

研究で確かめたこと、その先にあること

後半では、マウスの実験から言えることと、まだ言えないことを分けて考えます。さらに、人を対象にした視覚の研究にも触れます。2026年に報告された10人の臨床研究では、一部の参加者で光への感度が改善しました。ただし、正常な視力が戻ったわけではなく、効果や安全性をさらに調べる必要があります。

記事中に挙げた受賞者紹介や論文は英語の資料です。漫画本編は、専門知識がなくても悠と一緒に疑問をたどれるように作りました。

本編は40ページ。会話と軽い笑いを交えつつ、実験の場面では絵を見て考えられるようにしました。スマートフォンで読みやすい縦長の漫画です。

光遺伝学という言葉が気になったとき、藻の研究と脳の実験がどうつながるのかを知る入口として、手に取っていただけたらと思います。

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